北海道で育ち、記憶と身体の中にある雪国の温度感、空気感。
そこから離れた空間と時間を生きる今。
そのあいだにある物語を潜ませ、隠すように。
主にアクアチントの技法を使い微妙な質感を大切にした銅版画の作品です。
https://noriconbiz.myportfolio.com
展覧会に寄せて
北海道での個展は初めてとなります。
私は江別と札幌で育ち、東京、ニューヨーク、横浜など様々な場所に住みました。 特定の地にこだわりなく浮遊する感じで生きていましたが、作品を観ていただいた方から、どこか北を感じる心象風景、北国生まれでないと描けない空気感と言われ、改めて自分を形成している感覚のルーツは生まれ育った地にあって、北の地に想いを馳せているのだと作品から教えられました。静寂の中に聞こえる雪の降る音、白い息を吐きながら歩く朝の温度、雨の日の音と匂い、暗闇の中を走る車窓から見える燈、それは遠くにある記憶を切り取ったシーンでした。今回の初個展では、これまで制作してきた作品に加えて、直前に開催した東京銀座の個展で発表した趣の異なる新作も少し交えて展示いたします。
主にアクアチントという銅版画技法を使用し、想いを閉じ込めるように何層にも分けて複雑なグラデーションを作り微妙な質感を大事にしています。見えないところに隠れている物語を創造し、存在するものの音、匂い、温度、湿度を感じて、それぞれが存在している間を想像してもらえるような作品を創りたいと思っています。
ご高覧いただけますと幸いです。
今野 規子(Noriko KONNO)
江別市で生まれ、札幌の高校、専門学校を経て東京へ移りデザイン制作会社に勤務。 独立後、事務所を立ち上げグラフィックデザインの仕事に携わる。仕事を中断し1年間ニューヨークへ渡米。帰国後、東京でクリエイターのマネジメントやフリーランスグラフィックデザイナーとして活動。その後、2005年に武蔵野美術大学に入学、版画を学び2011年卒業。版画制作を続けるため大きな版画制作が可能な工房に近い横浜市に震災直後引っ越す。現在は東京を拠点にグラフィックデザインとアート活動を主に、個展や国内外の公募展、グループ展などで発表をおこなう。
主な国内展示
2024年 | 個展 「もののあはれを」(銀座巷房3階、階段下 東京) / 旅する版画展(ギヤラリーそら 鳥取)他 |
2023年 | 9 universes銅版画展(Art Space 路ゞ 倉敷)他 |
2022年 | assort of HANGA(ギャラリーFace to Face 東京)/ 版画家の生態展(Gallery and Links81 東京)他 |
2021年 | 個展 「浮遊して」(銀座巷房3階、階段下 東京) / PRITZ展(Gallery and Links81 東京)他 |
2020年 | TKO 国際ミニプリント展(東京–京都-大阪)他 |
2019年 | 個展 「銅ー雪のあいだ」(銀座巷房3階、階段下 東京) CWAJ現代版画展 (ヒルサイドフォーラム 東京-神戸) 他 |
2018年 | LINK展(金沢21世紀美術館 金沢) / 通版生活(文房堂ギャラリー 東京) / FEI PRINT AWARD(横浜) 他 |
2016年 | 銅版画の様々な世界〜多面体(札幌市資料館 札幌) / 他 |
2011年〜 | 日本版画協会展(東京) / 山本鼎版画大賞展(長野)/南島原セミナリヨ版画展(南島原) ロイヤルパークホテル ザ 羽田アート(東京) / ムサビズム展( 青山スパイラル 東京) 未来への視座( 東 京-盛 岡 ) / 版画家たちのドローイング展( ギャラリーTEN 東京 ) 4 drops銅版画4人展( ギャラリーTEN 東京 ) / 表現のかたち(ギャラリーヒッポ 東京) 他 |
海外展示
NY、ルーマニア、スペイン、バンコクなどの公募展、グループ展
受賞
FEI PRINT AWARD /南島原セミナリヨ版画展