どんなに輝きを放っても凝視すれば
歪で鋭利なガラス粒の集合。
努力が報われるその時々で輝きを放つ人生のように
ガラスは光の受け方で表情が変わります。
展覧会によせて
きっかけは、2019年、カナダ在住のガラス作家との出会いに始まります。
ブリティッシュコロンビア州在住の画家で友人の一人から、互いの作品を原画にしたガラスのモザイク作品を制作する計画が持ち上がり、同州在住のガラス作家が大作のモザイク画を制作しました。2019年に作品除幕式でカナダに行った際にガラス作家のスタジオを訪問し、ガラスの多種多様さを知り、帰国後、モザイク画や従来のガラス絵とは趣を異にする作品作りを始めました
ガラス絵は板ガラスを金槌で破砕・粉砕して、その全部を研磨しないで作品の原材料としています。粉末でも光を浴びると輝きますので、その特徴を「地」として生かし、一方で薄葉紙の華奢な質感も両立させた方法で作品に仕上げています。不均等なガラス面は光の受け方や角度によって透け具合や輝きが異なるので表情が微妙に変わります。薄葉紙はアクリルを塗布すると柔らかな色調が生まれます。異なる二つの素材を組み合わせることで特別な表情が創り出せました。
作品は、2019年に退会するまで長く北海道美術協会(道展)に所属していた頃の油彩と同様、自分の人生の喜怒哀楽をテーマとしています。どんなに輝きを放っても凝視すれば歪で鋭利なガラス粒の集合。努力が報われるその時々で輝きを放つ人生のようにガラスは光の受け方で表情が変わります。
今回は、その一端をご紹介し、展示することで新たなガラス絵の魅力を楽しんでいただければと思っています。
長岐和彦
長岐和彦(Kazuhiko Nagaki)
中川郡美深町生まれ、在住。
個展
1999 | Cealum Gallery(ニューヨーク) |
2000 | Canary Law Gallery(カナダBC州アシュクラフト) ギャラリー北時計(富良野市) |
2001 | Cealum Gallery(ニューヨーク) |
2006 | 白樺画廊(札幌市) |
2012 | 本郷新記念札幌彫刻美術館(札幌市) |
2017 | 新さっぽろギャラリー(札幌市) |
2018 | アートヴィレッジ恩根内(美深町) |
グループ展
1983 | 道展(札幌市民ギャラリー 2019 退会) |
1995 | 道展70周年企画「道展新鋭作家展」(大丸藤井スカイホール 札幌市) 新制作展(95~98 東京都美術館) |
2000 | International group show (Cealum Gallery ニューヨーク) |
2003 | KAZUHIKO NAGAKI / ROBERT MIREK Recent works (Cealum Gallery ニューヨーク) |
2004 | International group show (Cealum Gallery ニューヨーク) |
2005 | アートシーン2005美深(美深町文化会館COM100) 宮崎県美術協会創立40周年企画展「北と南の美の祭典」(宮崎県立美術館) 道展80周年記念企画展~響きあう北と南~(北海道立近代美術館) |
2007 | KAZUHIKO NAGAKI / KOJI NAKATA Recent works (Cealum Gallery ニューヨーク) |
2008 | 木滑美恵・斎藤順子・吉中博道・長岐和彦展 (茶廊法邑 札幌市) |
2014 | Trajectories(Chazou Gallery カナダBC州キャムループス) アートシーン美深(14~16美深町文化会館COM100、アートヴィレッジ恩根内) |
2015 | 道展90周年記念企画展(北海道立近代美術館) |
2018 | 兼平浩一郎・毛利千恵・長岐和彦展(茶廊法邑 札幌市) |
2019 | 毛利千恵・佐藤道子・登坂紘子・長岐和彦展(喫茶ギャラリーあかなら 富良野市) Royden Josephson / Jo Petty / Kazuhiko Nagaki展(walk side gallery カナダBC州アシュクラフト) |
受賞
道展 94, 95佳作賞,96北海道美術協会賞
公共収蔵
北海道、美深町、カナダBC州アシュクラフト