18年間撮り続けてきた、羊蹄山麓にある半月湖の水面写真 ~minamo~。
その中でも、青い空が映り込んだ思いっきり静かな“漣”(さざなみ) に今回振り切ってみました。
穏やかなBGMのように心地良く、皆様の心に響きますように…。
展覧会に寄せて
ここの所の私たちの周りの雰囲気は、コロナや戦争などにより、じんわりと重い感じがあるように思います。テレビでミサイルが撃ち込まれた後の瓦礫の映像などを見ていると心がザワザワとしてきます。なんとも嫌なものです。そんななか、私は自身のminamo作品の中でも、空のみが映り込んだ静かな作品に惹かれるようになってきたのだと思います。
18年間撮り続けてきた羊蹄山麓の半月湖の水面写真ですが、これまで四季折々の湖面に映る色や模様など、バリエーション豊かでダイナミックかつ躍動的な表情をとらえた作品を発表展示してきました。長い期間半月湖の水面を追い続けていますが、青く静かな作品はそれほど多くはありませんでした。そこで撮影位置を工夫して空の青色の映りこみを撮ろうといろいろ試みているうちに、半月湖に降りる山道の中腹のあたりから望遠レンズで水面を狙うと全体に広く空が映り込む写真が撮れることが分かってきました。
良いタイミングは2021年11月12日、紅葉は終わり雪を待つ肌寒い晴天の午後に訪れました。そろそろ帰ろうかと山道を上りながら撮影ポイントの中腹あたりで湖面を見ると、さざ波がたち始めて短い時間でしたが幾枚もの写真を撮ることができました。
今回の展示は、その時の写真で構成されています。空が映りこんださざ波による色や形が緩やかに変化していくさまが、心地よく静かにゆっくりと自然の持つエネルギーが伝わってくるような気がします。太陽光が地球の大気を通過する際に青色の光が散乱されて私たちのもとに届いているそうです。この写真たちにもその光が捉えられていると思います。
展示空間のBGMならぬ背景そのものになって、静かに心地よくコーヒーの香りに響きあうような空間と、ひとときの癒しを感じて頂けたら幸いです。
サブタイトルの「漣(さざなみ)」は、この作品を撮り終えてからその存在を知りました、日本画家、福田平八郎(1892-1974)の同タイトルの作品に非常に近いものを感じ、今回の展示に合わせて使わせて頂きました。
徳丸 晋(Shin Tokumaru)
1960年 北海道帯広市生まれ
1983年 室蘭工業大学土木工学科卒業
1996年 北海道倶知安町へ移住
■個展
2007年、08年、10年、11年、13年、16年:札幌時計台ギャラリー/札幌市
2008年:洞爺湖ビジターセンター/洞爺湖町
2010年~2020 年:十勝窯表参道ギャラリー/帯広市
2016年:カフェエスキス/札幌市
2016年:カフェエンタス、カフェクロト/神戸市
2017年:洞爺湖芸術館/洞爺湖町
2017年:小川原脩記念美術館/倶知安町
2018年~2020 年:ギャラリー専/仙台市
2018年:新さっぽろギャラリー/札幌市
2019年:ハートフィールドギャラリー/名古屋市
2020年:アイデムフォトギャラリー「シリウス」/東京都
2021年:北海道に渡った德丸三世代展 金津創作の森美術館 /福井県あわら市
■団体展
2009 年~2019 年 くっちゃん ART 出展 小川原脩記念美術館/倶知安町
2020 年~2023 年 麓彩会 出展 小川原脩記念美術館/倶知安町
2011 年 北に翔ける’11 作品展 鹿追町民ホール/鹿追町
2013 年 札幌美術展「アクアライン」 札幌芸術の森美術館/札幌市