【Fw:】Forward の略称。”転送”などの意味の他、 ”前へ” ”進歩して”。
Fw:Sampling
このコロナ禍において、日々変異を繰り返すウイルスと緊迫した社会情勢が回り続け、情報のジェットコースターの中に私たちは飲み込まれそうになっている。こんな世が訪れるとは夢にも思わなかったが、同時に来るべき時が来たのだろうとも思っている。
時は遡って2019年4月6日。
札幌での展示を終え、新たな創作を探る目的で、私は一つの試みを始めていた。A5サイズのノートブックにマーカーで1日1ページのドローイングを日課にしたのだ。マーカーという、ラフでタフなツールにもう一度魅力を感じていたからだ。
紙とインクで出来たモノクロのシンプルなページを積み重ねていく日常。
描いてはinstagramに投稿し、気がつけば現在1000を超える程になったのだが、アカウントを作った時、奇しくもプロフィール画像に設定したのはマスクをつけた人物だった。10年前に起きた原発事故を踏まえたイラストだったのだが、今やマスクはパンデミックの象徴だ。いつしかこのパンデミックは日常の一部になり、自分の命でさえ危険にさらされている。
何気ない選択に理由を探すことは本当に無意味なのだろうか?
サンプリングとはランダムな抽出であり、再構築のための選択でもある。自由な線がつくり出す新たなドローイングは少しづつカタチを変えながら今日も新たに生まれ、いつか訪れるであろう選択される日を待っている。
佐々木恒雄
展覧会によせて
昨年5月に網走での初展示を行い、本年1月には、札幌での展示が行われたドローイングシリーズがこの度新たに、札幌は円山のCAFE ESQUISSEさんで開催することになりました。『Sampling』というタイトルで始まった、このドローイングシリーズの展示は今回で3回目となり、前回の『Re: Sampling』、今回の『Fw: Sampling』へと続くことになりました。
日々一枚づつ増えていく中から選択されたドローイングは、キャンバスにもう一度描き起こすことで新たな作品となります。
一度選択されたドローイングはもうキャンバス化しない事により、そのドローイングを選択したという行為が、より強固にキャンバスに定着し『なぜこの選択をしたのか?』と、ドローイングはあなたに問いかけ続けるでしょう。
会場では、1000を超える作品の中から選んでいただいたドローイングを、様々な大きさのキャンバスにカスタムオーダー可能となっております。是非、お気に入りの一枚をどうぞ御選択ください。
ドローイングはインスタグラムで日々更新中。Instagram
佐々木恒雄(Tsuneo Sasaki)
1984年生まれ 北海道網走市在住
2004年より、作品制作および個展・イベント出演等の活動を開始。
夏期には漁師を、冬期には絵画製作等を行う。
Web http://tsuneosasaki.com
Mail info@tuneosasaki.com
個展
2005年 | 『situation』boiler gallery / 札幌 |
2007年 | 『crickers』Temporary Space / 札幌 |
2009年 | 『本日ノ庭』Temporary Space / 札幌 |
2011年 | 『佐々木恒雄展』Temporary Space / 札幌 |
2013年 | 『佐々木恒雄展』宇久画廊 / 福岡 |
2014年 | 『And Yet』Temporary Space / 札幌 |
2015年 | 『Sally』 TO OV cafe / 札幌 『Straight』屯々 / 網走 |
2019年 | 『Signs』Temporary Space / 札幌 |
2021年 | 『Sampling』マ・シマシマ / 網走 |
2022年 | 『Re:Sampling』NAKAHARA DENKI Free Information Gallery / 札幌 |
グループ展
2005年 | 『LIVE Salon Exhibition NYC Part Ⅱ』Greenhouse / ニューヨーク |
2008年 | 『佐々木恒雄×チQ 2人展「ランド!ポップする時」』Temporary Space / 札幌 |
2013年 | 『山田航歌集 「さよならバグ・チルドレンをめぐる変奏」 展』Temporary Space / 札幌 『生息と制作―北海道に於けるアーティスト、表現・身体・生活から』新宿眼科画廊 / 東京 |
2016年 | 『「撓む指は羽根 ムラギシ10年」展』Temporary Space / 札幌 『「柴田ひみつ図鑑」 14人のアーティストが描く、柴田智之』TO OV cafe / 札幌 『それぞれの「水に沈む羊」展』Temporary Space / 札幌 |