千歳川の源流・支笏湖の森に佇む大きな倒木のおばあさんの絵物語です。
源流から海に向かって絵の旅をしています。
展覧会によせて
千歳川の源流にあるひょうたんの形をした湖の支笏湖。その森に棲む大きな倒木を主人公にした絵物語「とーぼくばあさん」の原画19点を展示します。 森の中で見かけた大きな株がきっかけで、4年間、春から秋まで支笏湖のキャンプ場に滞在し、森を歩き取材を重ねて制作活動をしてきました。今回展示する作品は、その支笏湖の森で過ごした経験をもとに10年前から描いてきた作品です。画材は、墨汁とアクリル絵の具を使用しています。
絵物語「とーぼくばあさん」について
森のとーぼくばあさんは、ある朝、一匹の子リスに自分が倒木になるまでの昔話を語ります。一本の大きな木が、悠久の時の中でさまざまな命とともに生き、倒れても、今度は倒木として新たに生まれ変わり小さな命を育みながら森や湖を育てていることを、未来を生きる命に伝えます。見る人それぞれの心の奥の方にある、なつかしい森の記憶を自由に感じていただければ幸いです。
川を旅する展覧会
この展覧会は、2021年、春の桜の季節に、作品が生まれた支笏湖の森、千歳川源流部にある千歳市の”支笏湖ビジターセンター”での展示からはじまりました。緊急事態宣言により会期が短くなってしまったことがきっかけに、湖から突き動かされるように、作品を森から川に沿って旅をさせたくなりました。様々なご縁が川に沿ってつながり、千歳川に秋サケの上ってくる頃に川に隣接する”さけのふるさと千歳水族館”にて展示。渡り鳥が川に集う頃にさらに川を下り中流域の長沼で展示。さらに下った石狩川との合流地点にある江別にて展示をしてきました。 展示の川旅では、ミュージシャンとのコラボをしたり、映像朗読会をしたり、子供たちにお話しを作ってもらったりと、作品を通してさまざまな方々と交流をさせていただきました。これからも、海を目指していろんな方と交流をしていけたらと思っています。
小島 加奈子(Kanako Kojima)
画家。1969年愛知県生まれ。自然の中にある命の物語を絵で描き続ける。
1993年愛知県立芸術大学美術学部デザイン科卒業、1995年同大学院修士課程修了(修了制作作品買上賞)、南西諸島やアジア、ヨーロッパなど旅を重ね制作を続ける。
1997年、ニッサン童話と絵本グランプリ優秀賞。名古屋を中心に、ギャラリーや各地のデパート、海外のアートフェアなどで作品を発表。
1999年より北海道の支笏湖の森に滞在し「根ッ株」をテーマに制作を始める。
2004年より北海道へ移住し本格的な制作の拠点とする。由仁町在住。
田園スケッチブック絵画造形教室主宰
絵本「キュンすけのおくりもの」(三恵社/小原真由美/絵・小島加奈子)